まことくんの生理周期は大体二八日で、五日ほど経血が続く。
カレンダーにつけた印からの予定日はずれることはなく、きっかり二八日周期ではじまるし、はじまってからは五日で終わる。
あまり生理痛も重いほうじゃないみたいで、たまに他の要因で具合が悪かった時なんかと重なるとベッドで唸ったりもしているけれど、大抵はけろっとしている。
きつくないの?ときいたこともあるけど、その時「大丈夫だよ、凪斗さんは心配性だね」とまことくんは笑っていた。
まことくんが生理のとき、自己申告なんてなくても大体すぐわかる。
まず、異常な眠気があるということ。大体眠いが口癖になってアクビを連発している。眠れないというわけではなくって、寝ても寝ても寝足りないらしい。
二人きりでいるときにいつのまにかボクの身体に寄りかかってこてんと眠っているまことくんの可愛さプライスレス。本当に可愛くて、ボクのパソコンのハードの中には一月ごとにまことくんの寝顔のデータが着々と増えていっている。
あと、ちょっと甘えたになること。いつもはあんまりボクがべたべたとくっつくと怒ったりもするまことくんだけど、このときに怒られたことはない。
生理中の女の人はイライラするもの、って聞いたことがあるけれどまことくんにそれは当て嵌まらなかったみたいだ。
ボクがどんなに抱きしめても嬉しそうに笑ってくれる。甘えた、というよりもちょっと幼くなる感じ。いつも可愛いけれど、熱があるときみたいなぽやぽやしたまことくんもとても可愛い。
ボクが離れようとすると裾ひっぱってみたり、いっちゃうの?とかいったり、凪斗さん凪斗さんといってぺたぺたと触ってきたりするまことくんは本当におかしくなりそうなぐらい可愛くて、でも生理中だしなぁといつもボクは我慢する。
経血が気持ち悪いとかじゃなくって、そういう時にしてしまうと雑菌とかが入ってまことくんを傷付ける危険性があるから。だからある意味ボクにとっては生殺し。
まことくんがいいなら、ボクはいつだって大丈夫なんだけど。雑菌とかそういうのはゴム使えばいいんだし。けれど、そんなときのまことくんは寧ろボクに気を使っている節がある。
血が出てるのなんて別に構わない。だってそれも全部まことくんの体内から出たものだから、触れるどころか口に入れても大丈夫だと思う。
でもそれをいうと引かれそうだからいわないだけで。まだそういう関係になって半年間。幼くて無知なまことくんにそんなことを強いるにはまだはやいような気がするから。
──そんなことを思ってた時もありました。
「…ええと、」
「凪斗さん?」
こてん、と首を傾げるまことくん、超可愛い。心の中で呟いて、ボクは必至で笑顔を取り繕う。
確かに今日はお泊り予定でした。ボクの部屋に寝る場所なんてボクのベッドしかないんだからいつもどおり二人で一つのベッドを使うしかないのは当然のことだ。
生理中だから帰って自分の部屋で寝るね、といったまことくんを引き止めたのはボク自身。久々だったから離れがたかったというのが一番の理由だ。
「…やっぱり、ぼく」
「わかった!」
肩をおとしたまことくんにボクは心を決める。
「…いっしょに、ねよう」
ボクが躊躇っていた理由なんて一つしかない。薄着のまことくんと同衾して手を出さない自信がない。
言い訳をするならば、久々だったからそういうことを期待していました。ということになる。けれど、ボクはいつだってまことくんが欲しいんだから本当にただの言い訳だ。
嬉しそうに笑ったまことくんは、ボクのベッドに先に潜り込む。
「凪斗さんのにおいがする…」
嬉しそうに呟くまことくんに煽られながら、ボクは必死に理性の紐を締めた。
どんなに可愛くても、手を出しちゃダメだ。まだ。どうせ暫くすれば寝てしまうのだから、とボクはボク自身に言い聞かせる。
理性理性、と心の中で呟きながら、ボクはまことくんの横に身体を滑らせる。
ふんわりとしたまことくんの匂いに混じる血臭。触れるあたたかくてやわらかい身体。
理性、と呟いていた脳内を欲望が犯していく。傷つけたくない。優しくしたい。そう思うのも間違いないボク自身の本心だ。
けれど、ソレ以上にボクはまことくんが欲しいんだ、という心の奥底の欲望をまざまざとみせつけられたきがした。
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